注意:これはおまけのC言語版です。D言語版を元に書きましたが細かいところは手を抜いています。対象環境はMicrosoft Visual C++ ToolkitとPlatformSDKです。
では実際にプラグインを作っていきます。いきなり全ての機能を実装し、説明するのは困難なのでまずはRegnessemに認識できるだけの何もしないプラグインを作ります。これに機能を追加していって、最終的にお留守番プラグインを完成させましょう。
C:\Programs以下にaamという作業ディレクトリを用意します。実際のソースをここにおいてコンパイルします。ディレクトリ構造は以下のようになるはずです。
C:\Programs +-aam ; An Answering Machine(留守番電話)から命名 +-nsmplugin.h ; nsmsgsプラグインAPIヘッダ +-aam.c ; プラグインのメインソース +-aam.def ; 定義ファイル
それぞれのファイルやディレクトリは後述するので今はC:\Programs\aamディレクトリがあればOKです。
nsmplugin.hにはAPIの定数、関数、型などが書かれています。Regnessem公式サイトの開発室にあるプラグインスケルトンの中に入っているのでコピーしておきます。
C言語のソースファイルの拡張子にはわかりやすく.cと付けます。なのでメインプログラムのソースファイル名はaam.cとなります。以下にソースファイルの中身を書きます。
#include <windows.h>
#include "nsmplugin.h"
const static char *PluginInfo[] = {
NSM_API_VERSION, // API Version
"AddIn/aam", // Module Name
"An Answering Machine on Regnessem", // Plugin Title
"An Answering Machine on Regnessem", // Description
"Moon", // Author
"Copyright (c) 2004 Moon", // Copyright
"0.0.1", // Version
};
BOOL WINAPI DllMain(HINSTANCE hInstance, ULONG ulReason, LPVOID pvReserved)
{
switch (ulReason) {
case DLL_PROCESS_ATTACH:
break;
case DLL_PROCESS_DETACH:
break;
case DLL_THREAD_ATTACH:
case DLL_THREAD_DETACH:
return FALSE;
}
return TRUE;
}
// DLL Export Functions
int __stdcall GetPluginInfo(int nInfoNo, LPTSTR lpBuffer, int nSize)
{
if (nInfoNo < 0 || nInfoNo > sizeof(PluginInfo)/sizeof(PluginInfo[0])) {
// Unknown Information Number
return 0;
} else {
lstrcpyn(lpBuffer, PluginInfo[nInfoNo], nSize);
return lstrlen(lpBuffer);
}
}
int __stdcall Initialize(PNsmPluginInitInfo lpInitInfo)
{
return 0;
}
int __stdcall Terminate()
{
return 0;
}
const static char *PluginInfo[] = {
NSM_API_VERSION, // API Version
"AddIn/aam", // Module Name
"An Answering Machine on Regnessem", // Plugin Title
"An Answering Machine on Regnessem", // Description
"Moon", // Author
"Copyright (c) 2004 Moon", // Copyright
"0.0.1", // Version
}
0番目(PluginInfo[0]
)の値NSM_API_VERSION
はnsmplugin.h内で"0.2.3"
と定義されています。これは現在のRegnessemのAPIバージョンです。
1番目(PluginInfo[1]
)の値はモジュールの名前です。AddInプラグインのaamモジュールです。ここでいうモジュールはD言語のモジュールではなくRegnessemで使われるモジュールのことです。
2,3番目はプラグインの名前とプラグインの説明文です。任意に付けれるのでここでは"An Answering Machine on Regnessem"
と付けています。
4,5番目はプラグインの作者名と著作権情報です。これらも任意に付けることが出来ます。
6番目はプラグインのバージョン文字列です。とりあえずここでは0.0.1としておきました。
DllMain
はDLLのエントリポイントです。つまり通常のプログラムでいうmain
やWinMain
と同じものです。
int __stdcall GetPluginInfo(int nInfoNo, LPTSTR lpBuffer, int nSize)
{
if (nInfoNo < 0 || nInfoNo > sizeof(PluginInfo)/sizeof(PluginInfo[0])) {
// Unknown Information Number
return 0;
} else {
lstrcpyn(lpBuffer, PluginInfo[nInfoNo], nSize);
return lstrlen(lpBuffer);
}
}
GetPluginInfo
関数はRegnessem本体がプラグインの情報を取得するために呼ばれます。nInfoNo
に取得する情報番号、lpBuffer
に文字列を格納するためのバッファ、nSize
にバッファのサイズが入って呼び出されます。
API仕様書によると、バージョン0.2.3ではバージョン情報の番号は0~6と決まっています。そこでそれ以外の値がきた場合は無効なので0を返します。値を格納した場合はlpBuffer
に対して書き込んだ文字列を戻り値として返します。
lstrcpyn
はn文字をバッファにコピーするWindowsの関数で、ここで渡されたバッファに対して対応するプラグイン情報を書き込みます。そして戻り値としてlstrlen
(文字列の長さを取得するWindows関数)で文字列の長さ(=書き込んだバイト数)を返しています。
int __stdcall Initialize(PNsmPluginInitInfo lpInitInfo)
{
return 0;
}
Initialize
関数は、Regnessem本体が一度だけプラグインを初期化するために呼び出します。ここでサービスを作ったり、イベントをフックしたりしますが、今回は何もしないプラグインなので当然何もしません。正常終了したことを示す0を返しているだけです。
int __stdcall Terminate()
{
return 0;
}
Terminate
関数はプラグインが破棄される前にRegnessem本体から呼び出されます。ここでフックしたイベントを解放したりしますが、Initialize
関数で何もしていないのでここでも何もしません。正常終了したことを示す0を返しています。
さて、上記のソースをそのままコンパイルしてもDLLはできあがりません。コンパイラに対してこのソース群がどのようなものかを定義した定義ファイルを作る必要があります。
LIBRARY "aam.dll"
EXPORTS
GetPluginInfo
Initialize
Terminate
詳しい説明は省きますが、LIBRARY
に作成するDLLの名前を、EXPORTS
にDLLがexportする関数を記述します。基本的にRegnessemのプラグインの場合はGetPluginInfo
,Initialize
,Terminate
の3つの関数をexportすればOKです。
これで全てのファイルが揃いました。早速コンパイルしてみましょう。
C:\>cd \Programs\aam C:\Programs\aam>cl /LD aam.c aam.def Microsoft (R) 32-bit C/C++ Optimizing Compiler Version 13.10.3077 for 80x86 Copyright (C) Microsoft Corporation 1984-2002. All rights reserved. aam.c Microsoft (R) Incremental Linker Version 7.10.3077 Copyright (C) Microsoft Corporation. All rights reserved. /out:aam.dll /dll /implib:aam.lib /def:aam.def aam.obj Creating library aam.lib and object aam.exp C:\Programs\aam>
上記のようになれば成功です。成功すれば以下のようなファイル構成になっているはずです。
C:\Programs +-aam +-nsmplugin.h +-aam.c +-aam.def +-aam.obj +-aam.exp +-aam.lib +-aam.dll
作成されたプラグインDLLをRegnessemのPluginsフォルダにコピーしてRegnessemを起動します。メインメニューのヘルプからバージョン情報を開くときちんと以下のようなプラグイン情報が表示されているはずです。
"An Answering Machine on Regnessem" 0.0.1 Copyright (c) 2004 Moon